希少放線菌の胞子嚢形成に関与するアシルトランスフェラーゼAtsAを、22個のアシルトランスフェラーゼホモログの遺伝子破壊実験により同定しました。AtsAがどのようにして胞子嚢形成に関わるかはわかっていませんが、胞子嚢形成の分子機構を明らかにするうえで、大事な発見の1つになると考えられます。

https://journals.asm.org/doi/epub/10.1128/spectrum.04010-23

手塚武揚・元助教が日本ゲノム微生物学会・研究奨励賞を受賞しました。
受賞タイトルは「希少放線菌 Actinoplanes missouriensis の形態分化に関する分子遺伝学的研究」です。
3月13日に、日本ゲノム微生物学会第18回年会において、受賞講演を行いました。

希少放線菌では、胞子嚢内に伸長した菌糸に隔壁が形成され、それによって生じたコンパートメントが成熟して胞子になります。その最終ステップにおいて、連鎖状につながった細胞が分断されますが、この際の細胞壁の分解には酵素が必要です。以前の研究でGsmAと名付けたグルコサミニダーゼを同定していましたが、今回、GsmAと協調して働くと考えられるアミダーゼAsmAを同定しました。

Journal of Bacteriology Volume 206 Issue 3 e00456-23
https://doi.org/10.1128/jb.00456-23

SsgBはStreptomyces属放線菌においては気中菌糸における隔壁形成に関与することが知られていますが、希少放線菌Actinoplanes missouriensisでは、胞子嚢形成の初期段階に必要であることがわかりました。一方、Streptomyces属放線菌のSsgBが、A. missouriensisssgB欠損株の表現型を正常に戻すことが示されました。本研究により、放線菌に特有のタンパク質ファミリー(SALPs)の機能に関して重要な知見が得られました。

Journal of Bacteriology Volume 206 Issue 3 e00428-23
https://doi.org/10.1128/jb.00428-23

Kutzneria albida由来p-coumaric acid生合成経路の解析に関する論文がBeilstein Journal of Organic Chemistryに公開されました。亜硝酸を利用したジアゾ基合成とその還元的な置換反応により、p-coumaric acidを合成する経路を報告しています。

https://doi.org/10.3762/bjoc.20.1

京都大学農学部で開催された生理化学研究ユニット第13回シンポジウム「Chemistryで紐解くPhysiology」で、大西教授が「高度な形態分化能を有する希少放線菌の生理学」というタイトルで招待講演を行いました。

住所 : 東京都文京区弥生1-1-1東京大学農学部2号館