研究室を志望する皆さんへ

研究室の歴史』を読んでいただければわかるように、醗酵学研究室には長い歴史があります。「伝統」と言ってもいいでしょう。この「伝統」は当研究室の大きな財産の1つです。トップページで書いたように、醗酵学研究室では、多くの卒論生・大学院生・ポスドク・研究生の情熱と努力によって、高いactivityとproductivityが維持されてきました。研究室員は多かれ少なかれ「醗酵のプライド」をもって、研究に取り組んできたわけです。高い志をもち本気で研究に取り組む意欲のある皆さんが醗酵学研究室の新たなメンバーとなってくれることを心より願っています。

以下、対象者別に「メッセージ」を書きますが、当研究室に興味がある皆さんは、是非、すべてに目を通していただきたいと思います。多くの情報が得られると思います。なお、4年生の研究室配属や大学院入試で醗酵学研究室を志望する皆さんは、必ず事前に研究室を訪問していただきたいと思います。まずはE-mailでご連絡下さい。

連絡先:大西康夫

生命化学・工学専修の3年生へ

「基礎微生物学」の単位はちゃんと取れましたか?必修ですので、卒業までには必ず合格して下さいませ。さて、「研究室選び」となると、授業よりもずっと真剣になっていることだと思います。起きている時間の大部分を研究室で過ごすことになる人も多いと思いますので、よく考えるに越したことはありません。ただし、結局のところ研究室に入ってみないとわからないことも多いですし、大学院から別の研究室に移ることも可能ですので、「4年生で志望研究室に入れなかったら人生終わりだ…。」などと深刻になりすぎる必要はないと思います。一般論を続けると、研究室選びに当たっては、是非、研究室の先生や先輩の話をよく聞いて欲しいと思います。毎年、いろいろな「噂話」が持ち上がるようですが、真偽の程は自分でしっかりと確かめるべきです。興味のある分野の研究室を選ぶということも大事ですが、研究室の指導方針や雰囲気が自分に合うかどうかは、もっと大事だと思います。また、大学院に進学する人がほとんどだと思いますが、その後どのような方向に進みたいかについて、この際しっかりと考えてみることも重要ではないでしょうか。実際に研究を始めてみないと先のことはわからないという人がほとんどだとは思いますが…。

さて、醗酵学研究室ですが、『激務』だとか『三大ブラック研究室の1つ』などと言われていることもあるとかないとか(笑)。3年生の時に比べると大学にいる時間はずっと長くなるのは間違いないと思いますが、『激務』を強いるということはないですよ。どれくらいが『激務』なのかはわかりませんが…。ただ、何がなんでも楽をしたいと考えている人には、当研究室は向いていないとは思います。もちろん、無意味な実験を繰り返すことは避けるべきですが、「面倒だからこの程度でいいや。」などという考えでは、世界に通用するハズがありません。これは卒論生でも、大学院生でも、ポスドクでも同じです。「自分の実験結果に責任をもつ」つまり「適切なコントロールをおき、十分に再現性のある結果を出す」ことが、当研究室で実験する人の義務だと思って欲しいと考えています。

研究室での卒論生の指導方針等は、話を聞きに来てもらった時に詳しく説明したいと思いますが、基本的に4年生の1年間は優秀な先輩あるいは先生から、実験手法、研究の取り組み方・まとめ方、発表の仕方等をマンツーマンで教わってもらうことになります。「1年間」と書きましたが、通常は4年生の秋頃から、徐々に「師匠ばなれ」をしていきます。そして、卒論発表時には1年間で大変立派に成長した姿を新入生の前で披露することになります。3月末の学会で研究成果を発表する卒論生も少なくありません。

これまで、研究室にきた4年生のほとんどがそのまま大学院修士課程に進学しています。そのうち2年に1人くらいが博士課程まで進学しています(ここ10年の平均)。

なお、2010年度以降の日本人修士課程修了学生(修士課程から研究室に加わった人を含む)の就職先は、企業の研究職18名(味の素2、カネカ、旭化成、協和発酵バイオ3、アステラス製薬、第一三共、ミルボン、生化学工業、キッコーマン2、アサヒビール、ロッテ、中外製薬、ユーグレナ、太陽化学)、それ以外11名(高校教員、政府系銀行、コンサル、IT、情報・通信、生保、SEなど)です。

このページの前文で書きましたが、「本気で研究をしたい」と考えている皆さんが醗酵学研究室を志望してくれることを心より願っています。皆さんが東大の理系に進学した意義の1つは、研究室に入って「これまで世界中の誰もが知らなかったことを明らかにするべく研究を行うこと」にあると思いませんか?醗酵学研究室は、「本気で研究をしたい」という皆さんの気持ちに十二分に応えられる研究室であると自負しています。私たちと一緒に、世界中をあっと驚かすような研究をしようではありませんか!我こそはと思う皆さん、まずはE-mailでご連絡下さい。(もちろん、専修で設定されている説明会に来てもらうのでも構いません。)

大学院修士課程入学を考えている皆さんへ

まず、すぐ上にある「学内の3年生へのメッセージ」を読んで下さい。醗酵学研究室には、「生命化学・工学専修」約80名の中でも「やる気のある学生」が毎年参加してくれていると思います。毎年、2-4名の内部生が大学院入試をパスして修士課程に進学しています。大学院の研究室定員は5名であり、たいてい1-2名の他大学出身者が修士課程から研究室に加わっています。研究室内では、内部から進学した大学院生と修士課程から研究室にやってきた大学院生を区別することは基本的にありません。皆さん、「同期」として仲良くやってくれています。

「学内の3年生へのメッセージ」に書いた通りですが、「本気で研究をしたい」という意欲のある人を心より歓迎します。一方、「東大の大学院を卒業したいだけ」という人はご遠慮いただきたいと強く思います。修士からの人の場合も卒論生と同じように「師匠」の元で研究を開始してもらいますが、できるだけ早い時期に主体的に研究を進める体制に移行してもらいたいと考えています。たいていの人の場合、出身大学の研究室での生活と比較して、当研究室での生活は圧倒的にハードであると感じるようです。「自分はやっていけるのか?」と思う人は、次のことについて今一度よく考えて下さい。大学院で「これをやるんだ」という高い志はあるか?それを必ず成し遂げようとする強い意志はあるか?その意志を体現する力はあるか?これらの問いに「Yes, of course!」と答えられる人は心配ないと思います。

醗酵学研究室には、たいていの場合、ポスドク、企業からの研究員、派遣会社からの実験補助員等の社会人も在籍しており、修士学生はまだまだ若手です。皆さんが成長するにはきわめて恵まれた環境であると言えるでしょう。大学院入試をパスしてもらわないことにはどうしようもありませんが、そこから新しい未来が拓けるのは間違いありません。我こそはと思う皆さん、まずはE-mailでご連絡下さい。

大学院博士課程入学を考えている皆さんへ

所属研究室の教授が近く定年退職する、修士課程修了後企業に就職したが博士課程に入り直したい、などの理由で博士課程から醗酵学研究室に参加してくれる人もいます。2008年度以降では留学生を除くと5名で、出身大学院は東大、横浜市大、北里大、東工大、京大です。もちろん、このような皆さんも大いに歓迎いたします。ただし、基本的に新しい研究テーマでのスタートとなるため、3年間で博士論文を書き上げるためには相当の努力が必要で、それなりの覚悟をもって入学を考えていただきたいと思います。何はともあれ、まずは相談していただければと思います。

ちなみに、2009年度以降で博士課程を修了した日本人学生(社会人博士を除く)の進路は、東京大学大学院助教 (あるいは特任助教) 2名、海外ポスドク4名(アメリカ2名、ドイツ1名、カナダ1名)、国内ポスドク(東大)4名、民間企業の研究所3名、独立行政法人・医薬品医療機器総合機構1名、総務省1名、民間企業(SE)1名です。

醗酵学研究室でのポスドクを志望する皆さんへ

醗酵学研究室では、これまで、常時1-3名程度のポスドクが在籍していますが、異なったバックグランドをもつ精鋭が集うことで、大いに研究室が活性化されてきました。また、ポスドク自身も研究室の大学院生や他のポスドクから多大な刺激を受け、その実力を大きく延ばしています。研究室を巣立ち、新天地で活躍しているポスドクが多いことは嬉しい限りであり、今後も何らかの形で醗酵学研究室との「つながり」を持ち続けていってくれることを期待しています。

研究室の学生・大学院生がその背中を見て成長するため、そして研究室の研究力の向上のため、バックグランドの異なるポスドクが研究室に参加してくれることは非常に重要であると考えており、そのための外部資金の獲得には全力を尽くしています。また、日本学術振興会の特別研究員PDの受入れも積極的に行っています。研究室に参加してくれたポスドクには、研究に没頭できる環境を提供し、これまで培ってきた実力を発揮して成果を出していただきたいと考えています。ただし、研究室内では社会人としての責任と協調性を忘れることなく、学生・大学院生の「手本」となる振る舞いをお願いしています。

 

日本学術振興会の特別研究員PDを除いては、常時ポスドク募集中というわけではありませんが、興味のある方は是非、研究室の門をたたいて下さい。いろいろな可能性があると思います。この文章を読んでいるのも何かの縁かもしれません。醗酵学研究室に眠る研究の種から、大きな花を咲かせようではありませんか。

留学生として醗酵学研究室を志望する皆さんへ

醗酵学研究室では毎年1-3名程度の新規留学生(研究生、あるいは大学院生)を受入れてきています。興味がある方は、E-mailでご連絡下さい。

研究生派遣を考えて下さる企業の皆様へ

醗酵学研究室の長い歴史の中では、多くの方が企業からの研究生として、研究室に参加して下さってきました。近年でも、企業からの研究生1-2名が学生・大学院生、ポスドクに混じって、醗酵学研究室で日夜研究に励んでおります。今後も研究生を派遣していただくに値する研究室であり続けられるよう全力で取り組んで参ります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

住所 : 東京都文京区弥生1-1-1東京大学農学部2号館