X線結晶構造解析、クライオ電子顕微鏡単粒子解析、生化学的な解析と計算科学を駆使して、ATP依存型ジアゾ基合成酵素の反応機構を明らかにしました。本研究成果を活用して、今後多様なジアゾ基含有化合物の酵素合成が可能になると期待されます。
胞子嚢形成時期に転写が顕著に増大する、二成分制御系の応答制御因子をコードするasfR遺伝子に着目して研究を行いました。asfR遺伝子破壊株では、形態的には正常な胞子嚢が形成されますが、この胞子嚢は開裂条件下において胞子を放出することができませんでした。開裂に必要な分子機構の基盤は、胞子嚢形成時に構築されていると考えれますが、asfR遺伝子破壊株では、この基盤構築に欠陥があると考えられます。
ゲノムデータベースを活用し、(2S,5S)-もしくは(2S,5R)-5-hydroxylysineを合成するリジン5位水酸化酵素を複数同定することに成功しました。これらの研究成果は医薬品前駆体の生産に活用できると期待されます。
https://chemistry-europe.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/chem.202404790
研究科HP
勝山准教授が二次代謝産物生合成遺伝子データベース (MiBIG) の整備に協力し、これに関する論文が公開されました。
MIBiG 4.0: advancing biosynthetic gene cluster curation through global collaboration
希少放線菌の遊走子は、豊栄養な環境に辿り着くと遊泳を停止し、発芽して菌糸状の生育を開始します。この際、べん毛モーターのブレーキの役割を担うタンパク質を発見しました。本研究は、希少放線菌の複雑な生活環を支える巧妙な分子機構の1つを解明しただけでなく、高性能ナノマシンである細菌べん毛モーターの分子機構解明の新たな糸口を見出した点で重要です。
放線菌の持つavenalumic acidとp-coumaric acid生合成経路から見出されたジアゾ基合成酵素を活用し、in vivo, in vitro2つの方法論でPhenyldiazene誘導体の生産に成功しました。ジアゾ基を基盤とした天然物誘導体化が実際に行えることを示した重要な成果です。