希少放線菌の胞子嚢形成に関与するアシルトランスフェラーゼAtsAを、22個のアシルトランスフェラーゼホモログの遺伝子破壊実験により同定しました。AtsAがどのようにして胞子嚢形成に関わるかはわかっていませんが、胞子嚢形成の分子機構を明らかにするうえで、大事な発見の1つになると考えられます。

https://journals.asm.org/doi/epub/10.1128/spectrum.04010-23

希少放線菌では、胞子嚢内に伸長した菌糸に隔壁が形成され、それによって生じたコンパートメントが成熟して胞子になります。その最終ステップにおいて、連鎖状につながった細胞が分断されますが、この際の細胞壁の分解には酵素が必要です。以前の研究でGsmAと名付けたグルコサミニダーゼを同定していましたが、今回、GsmAと協調して働くと考えられるアミダーゼAsmAを同定しました。

Journal of Bacteriology Volume 206 Issue 3 e00456-23
https://doi.org/10.1128/jb.00456-23

SsgBはStreptomyces属放線菌においては気中菌糸における隔壁形成に関与することが知られていますが、希少放線菌Actinoplanes missouriensisでは、胞子嚢形成の初期段階に必要であることがわかりました。一方、Streptomyces属放線菌のSsgBが、A. missouriensisssgB欠損株の表現型を正常に戻すことが示されました。本研究により、放線菌に特有のタンパク質ファミリー(SALPs)の機能に関して重要な知見が得られました。

Journal of Bacteriology Volume 206 Issue 3 e00428-23
https://doi.org/10.1128/jb.00428-23

Kutzneria albida由来p-coumaric acid生合成経路の解析に関する論文がBeilstein Journal of Organic Chemistryに公開されました。亜硝酸を利用したジアゾ基合成とその還元的な置換反応により、p-coumaric acidを合成する経路を報告しています。

https://doi.org/10.3762/bjoc.20.1

希少放線菌が形成する胞子嚢胞子の覚醒の第一段階である胞子嚢開裂の分子機構の解明を目指した研究から、微生物学における新しい概念の提唱につながる重要な成果が得られました。

研究科の研究紹介 https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/topics_20231226-1.html
論文 https://www.nature.com/articles/s41467-023-44291-y

大阪公立大学の宮田真人教授との共同研究により、希少放線菌の胞子嚢および胞子を急速凍結ディープエッチレプリカ顕微鏡を用いて観察することで新しい知見が得られました。

https://academic.oup.com/bbb/advance-article/doi/10.1093/bbb/zbad159/7424967

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