放線菌の二次代謝産物であるニボマイシン(nybomycin)、ジアゾキノマイシン(diazoquinomycin)、ストレプトニグリン(streptonigrin)は、ジアミノフェノールを前駆体として生合成されると予想されてきましたが、その生合成機構は不明でした。今回、NybO、NybC、NybNの3つの酵素が、亜硝酸を利用して、3-ヒドロキシアントラニル酸(3-hydroxyanthranilic acid)の4位にアミノ基を導入することで、ジアミノフェノール骨格を合成していることを明らかにしました。二次代謝における新たな亜硝酸の利用法を明らかにした点で、重要な研究成果です。

https://chemistry-europe.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/cbic.202500953

希少放線菌Actinoplanes missouriensisの胞子嚢形成過程では、胞子嚢内部の伸びた菌糸に隔壁が生じ、のちに成熟胞子となる細胞が形成されます。今回、この細胞の細胞表層に局在するタンパク質SspAが正常な胞子嚢形成に必須な機能を有していることがわかりました。SspA遺伝子の破壊株では、水中ですぐに崩壊する「脆弱胞子嚢」が形成されます。

https://www.microbiologyresearch.org/content/journal/micro/10.1099/mic.0.001656#tab2

勝山准教授が東京大学酵素学研究室の宮永顕正准教授と共同で執筆した天然物の生合成における保護基の利用方法をまとめた総説がJournal of Natural Products誌に公開されました。

https://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/acs.jnatprod.5c01482

希少放線菌が形成する胞子嚢から胞子が放出される際、胞子嚢内部で胞子を包むマトリクス成分を分解する2つの多糖加水分解酵素GimAとGimBを発見しました。また、胞子嚢マトリクスの主要な構成成分が、オリゴ糖を繰り返し単位とする多糖であることを示すとともに、胞子嚢マトリクス多糖の合成に関わる遺伝子クラスターを同定しました。

https://journals.asm.org/doi/10.1128/mbio.02682-25
研究科HP

微生物化学研究所との共同研究により、ジアゾ基をもつアミノ酸thrazarineの生合成遺伝子クラスターを明らかにしました。さらに、thrazarineの生合成において、l-スレオニンを基質とする新規なヒドラジンシンターゼを同定しました。本研究はジアゾ基生合成に新たな知見を与える重要な研究成果です。

https://chemistry-europe.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/cbic.202500298

X線結晶構造解析、クライオ電子顕微鏡単粒子解析、生化学的な解析と計算科学を駆使して、ATP依存型ジアゾ基合成酵素の反応機構を明らかにしました。本研究成果を活用して、今後多様なジアゾ基含有化合物の酵素合成が可能になると期待されます。

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/anie.202505851

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